ミステリークレイフィッシュ、水替えで逸出!?要注意!

ミステリークレイフィッシュP. fallax f. virginalis.加藤英明.1.jpg

爆発的に繁殖する外来生物のザリガニ、ミステリークレイフィッシュ。ホースで水槽の水替えをしていると、稚ザリガニが吸い込まれて流出…。そんな事態が危惧されます。
ミステリークレイフィッシュが抱卵した後、稚ザリガニがある程度大きくなるまで水替えは控えましょう!

ミステリークレイフィッシュは単為生殖するザリガニで、全ての個体が単独で卵を産みます。
元々は北アメリカ原産のスロウザリガニ(Procambarus fallax)ですが、1995年にドイツで販売された個体を親とした繁殖個体の中に、突然変異個体が発見されました。単為生殖が可能な3倍体個体の誕生です。その後、繁殖個体がヨーロッパやアフリカ、日本に持ち込まれ、野外に入り込みました。1匹でも繁殖するので…野外繁殖個体は星の数!同じ遺伝子を持つクローンザリガニが、世界中に拡散しつつあります。

大きさが5pほどに成長すれば産卵可能で、早ければふ化後3か月で性成熟に達します。その後は…3か月ごとに卵を産みます。その数は一度に100個以上。1匹が1年間で数百匹に、さらに孵化個体もその年に産卵するので…大繁殖してしまいます。

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ミステリークレイフィッシュP. fallax f. virginalis.卵.加藤英明.jpg


取り扱いは慎重に!


※人為的な環境で生み出されたミステリークレイフィッシュを新種として扱うことは適切ではないとされ、異なる変異型(Procambarus fallax f. virginalis)として区別されます。
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静岡県内で発見!特定外来生物のマダラサソリ!

マダラサソリ.Isometrus maculatus .加藤英明.jpg
(静岡県清水区で捕獲された個体)

2018年8月8日に、静岡県の清水港周辺で、特定外来生物に指定されているキョクトウサソリ科の一種であるマダラサソリが発見されました。発見された個体は成体のメスで、体内には幼生の姿が20個体ほど確認されました。早期の発見と対応が、野外繁殖を防ぐことに繋がりました。

マダラサソリ.Isometrus maculatus.3.加藤英明.jpg
(体内に幼生の姿が確認できます)

マダラサソリは、全長6cmほどの小型のキョクトウサソリの仲間で、国内では石垣島や西表島などに生息します。本種は生後半年で性成熟に達し、メスの妊娠期間は2か月ほど。メス1匹が紛れ込んでも繁殖する可能性があります。耐寒温度は低く、生息地は6℃程度の低温まで下がるため、静岡県でも屋内であれば越冬する可能性があります。

マダラサソリ.Isometrus maculatus.2.加藤英明.jpg
(体に触れると尾のよう後腹部を反らせて先端の毒針を刺します)

本種に刺されると強い痛みが続き、体質によってその程度は異なります。

サソリの仲間を見つけた場合は素手で触らないようにし、行政に知らせしましょう!


<静岡市ホームページ:マダラサソリが清水区で発見>
http://www.shizutan.jp/news/2018/08/post-129.html
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鉄腕ダッシュ!ウチダザリガニ、加藤英明2018年9月9日放送

ウチダザリガニ.Pacifastacus leniusculus trowbridgii. 加藤英明.静岡大学.jpg

北海道の豊かな自然の中に入り込んだのは、外来種のウチダザリガニ。水草や水生昆虫など様々な生き物を捕食し、日本の固有種であるニホンザリガニが影響を受けています。このままではニホンザリガニが消えてしまうことも!ウチダザリガニの分布拡大を食い止めるため、野外から取り除く必要があります。

ウチダザリガニは、臭いに敏感。餌の匂いを嗅ぎつけると、巣穴から出て餌を探します。
そんな生態を利用し、ウチダザリガニを一網打尽に!
※本種は2006年に特定外来生物に指定され、生きた状態での運搬・飼育等が禁止されています。

何でもよく食べるウチダザリガニは、日本の生態系を破壊しつつあります。海外ではヨーロッパの野外に侵入し、本種が持ち込んだザリガニペストと呼ばれる病原菌に感染した在来種のヨーロッパザリガニが死滅する地域も。ザリガニペストがニホンザリガニに感染した場合100%死亡するとされ、ウチダザリガニの侵入後にニホンザリガニが姿を消した場所では、その感染の疑いもあります。

そんな厄介な外来生物の捕獲に挑む!

ウチダザリガニ.Pacifastacus leniusculus trowbridgii.2.加藤英明.静岡大学.jpg

本種は嗅覚に優れ、50m範囲の匂いを嗅ぎつけることも!餌の匂いにつられて巣穴から出てきます。

ウチダザリガニ.Pacifastacus leniusculus trowbridgii.3.加藤英明.静岡大学.jpg

捕獲されたウチダザリガニは、一流のシェフによっておいしい料理に仕上げられました。
※ザリガニ類は寄生虫の中間宿主となるため、しっかりと管理されていない個体の調理は要注意。
アメリカザリガニも同様で、保有する寄生虫が人の体内に侵入する恐れがあります。
また、罠の使用には北海道内水面漁業調整規則に基づく採捕の許可が必要です。



<ウチダザリガニ>
・特定外来生物
・日本の侵略的ワースト100
・世界の侵略的ワースト100
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拡散させない!外来種のウチダザリガニ!

ウチダザリガニPacifastacus leniusculus trowbridgii.加藤英明.jpg


ウチダザリガニは、北アメリカ原産の外来種です。日本では、北海道や福島県、長野県などに定着しています。
体長は15pで、第一胸脚のはさみのつけ根に青白い模様があるのが特徴です。

本種の食性は雑食で、水草を始め、ヤゴなどの水生昆虫やメダカやドジョウなどの魚類、甲殻類など様々な水生生物を捕食します。緑藻類をよく食べるため、マリモへの影響も危惧されます。餌となる水生生物が少なくなると、共食いもします。

メスは繁殖期の秋に性フェロモンを分泌し、オスの交尾行動を引き起こします。産卵数は200個ほど(大きな個体は500個以上)。年に1回産卵します。卵は冬の間にメスの腹脚で守られ、翌年の初夏に孵化します。成長は餌の量と水温により異なりますが、2年ほどで性成熟に達します。

ウチダザリガニは、1926年に初めて日本に試験導入され、その後に各地に持ち込まれました。過去には観賞用に流通して飼育されることもありましたが、冷水性の環境を好む為、高温な状態が続く室内での長期飼養は困難でした。しかし、野外の水辺では多くの場所で生存が可能であり、今後も本種の侵入と定着が危惧されます。


<特定外来生物>
ウチダザリガニは、2006年に特定外来生物に指定され、生きた状態での運搬・飼育等が禁止されています。
意図的・非意図的な移動により国内各地に定着する恐れがありますので、水草や砂利等、水辺のものを移動する際には、ウチダザリガニの幼生(稚ザリ)が混入していないかよく確認しましょう。


マリモを食べるウチダザリガニPacifastacus leniusculus trowbridgii.加藤英明.jpg

観賞用マリモを食べるウチダザリガニ

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アメリカザリガニを正しく管理しましょう!

アメリカザリガニProcambarus clarkii1.加藤英明.HideakiKato.静岡大学.jpg

身近な水辺の生き物であるアメリカザリガニの原産地は、アメリカ南東部ミシシッピ川流域。日本には1927年にアメリカから持ち込まれ、野外に侵入したものが繁殖し、北海道から沖縄まで全国に広がりました。

古くから身近にいるため、日本の生物と思っている人も多いようですが、本種は外来種であり、野外から取り除く必要があります。大切に飼育をすれば、産卵し、体についた子どもの世話をする姿を観察することができます。しかし…増えた個体を野外に放すことは禁物です。
子ザリガニも、最後まで責任を持って飼育しましょう!

アメリカザリガニProcambarus clarkii2.加藤英明.HideakiKato.静岡大学.jpg

アメリカザリガニは、雑食性で、植物から甲殻類、ヤゴやホタル幼虫などの昆虫、メダカやドジョウなど魚類、イモリやカエルなどの両生類を捕食します。時には、子ガメも!

本種が侵入した環境は、徐々に悪くなり、ホタルやトンボが飛ばない水場になります。

愛玩用の生物は、自然に放さない!

野外の守るべき生き物と、室内で大切に飼育する生き物をしっかり区別して、正しく生き物と付き合いましょう!

アメリカザリガニProcambarus clarkii3.加藤英明.HideakiKato.静岡大学.jpg

アメリカザリガニの体長は15pほど。日本の野外では、水温が12℃以下になると成長が止まり、5℃以下では冬眠します。子ザリガニは1年半ほどで性成熟に達して、体の小さなメスは一度に50〜100個ほどの卵を産みます。寿命は5年ほどで、体長10pを超えるメスは一度に500個ほどの卵を産みます。メスは卵と孵化した子どもをお腹に1カ月間、抱えます。


※若い個体は淡褐色で、はさみも小さく、日本に固有のニホンザリガニに間違えられることが多々あります。
ニホンザリガニは、北日本の水温20℃以下の冷たくきれいな水に生息し、主に水中に溜まった落ち葉を食べて成長します。
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