毒グモ、冬でも繁殖!対策を!特定外来生物セアカゴケグモ

セアカゴケグモ冬季野外繁殖.2023.1.24.jpg
2023年1月、野外繁殖を確認(関東)
Red-back spider
(Latrodectus hasseltii)


冬でも、暖かい場所では繁殖することがわかりました。冬季は安心…ではなく、気を抜かずに対策しましょう!

セアカゴケグモかもしれない、と思ったら…
・体は黒くておなかに赤い模様があるのが特徴
・神経毒を持つので触らない
・特定外来生物なので生きた状態で移動させることはできない
 ※卵のうも
・捕まえたらその場で棒でつぶして殺処分。エタノールに入れてもOK!
・危険な場合はすぐに殺虫剤を使う。※市販のもので効果あり
・殺した後に写真を撮影しておくことが好ましい
・行政に報告して今後の対策に役立てる
・地域の人にも知らせてみんなで防除 ※地域で毒抜き器を準備
コーントラップなど、効果的な対策で拡散させない。
 ※拡散した個体を集める効果あり

全国各地で見つかるようになったセアカゴケグモは、身の回りにも潜んでいるかもしれません。日当たりの良い暖かい場所を好むので、人家周辺にも現れることがあります。室内に入ることも!
日中に気温が上がる建物周辺、家の中では冬季も繁殖します!

見つけたら焦らず、対応しましょう。発見された地域では、毒を抜く吸引器の準備が大切です。危険な生物ですが、見つけたら冷静に対応しましょう!


<セアカゴケグモ>
脱皮を繰り返し、メスは体長7mmで成体。
オス3カ月、メス4カ月で繁殖が可能。
卵のう内には100個以上(多くて250個)の卵が含まれる。
メスは一度に卵のうを3個ほど連続して産む。
卵は1週間ほどでふ化し、卵のうの中でさらに1週間過ごして出てくる。
メスの寿命は3年、1個体で生涯5000個の卵を産む。
共食いや敵に食べられ、生存率は10%ほど。
オスの寿命は半年ほど。交尾中、メスに食べられてしまう。
※食べられている間に交尾が続けられる
メスは複数のオスと交尾する。
一度交尾をするとメスは体内に2年間精子を保持する。
ふ化した子グモたちは母親と一緒に棲む。
クモの糸にかかった獲物を襲う。
獲物に咬みつくと消化用液を注入、10分後に溶けた筋肉を吸う。
水は主に餌から得る。
主にアリ等の昆虫、小型のトカゲも補食する。

気温10℃以下で餌を食べなくなり、冬眠する。
訂正→ 気温が夜間、氷点下に下がっても、日中に暖かければ冬季でも産卵する

生命力は強く、半年以上、1年間餌を食べなくても生存可能。
気温25℃以上で活発に活動する。
メスは気に入った場所に留まる。
オスはメスを求めて移動する。


寒くなった時期は、比較的暖かい場所に集まるので見つけやすいのでチャンス!冬もしっかり対策すれば、増殖を抑えることができます。


近年、日本の野外で見られるようになりましたが、セアカゴケグモは外来種です。そして、毒を持ちます。図鑑で調べてみましょう!

セアカゴケグモ.繁殖.冬季.加藤英明.jpg

Youtube
加藤英明【公式】かとチャン


ご視聴ください!


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毒グモ、セアカゴケグモ駆除!コーンでトラップ!



<コーントラップ>
コーンを設置することで、効率よく駆除が可能です!
コーンの中は暖かく、雨風をしのぐことができるため、周囲に潜むセアカゴケグモが集まります。
そこを一網打尽!


危険生物セアカゴケグモを大量捕獲!
コーンに集めた状態で効率的かつ効果的に駆除することができ、特に住宅地では拡散防止にもつながります。
※セアカゴケグモは蒸れを嫌うため、トラップ用コーンは先端が空いたものが好ましい。

セアカゴケグモ.トラップ.罠.不規則網.jpg
<セアカゴケグモ発見のポイント!> 不規則網
セアカゴケグモは、規則正しいクモの糸は張らず、不規則な網です。見つけたら要注意です

セアカゴケグモ.トラップ.卵.幼体.繁殖.jpg
白っぽい綿のようなものは、卵のう。卵は卵のうの中にあります。卵のうの周辺には孵化した幼体がたくさん!よーく観察してみましょう。
※服につかないように気をつけてください

セアカゴケグモ.卵を守るメス. 卵のう.jpg
卵のうを守るメス。卵のうは私たちの爪ほどの大きさです


<セアカゴケグモの生態>
セアカゴケグモは餌から水分を得るため、乾燥した場所でも生きられます。獲物に咬みつくと消化用の毒を注入し、10分ぐらいで溶けたものを吸い取ります。

基本的に夜行性で、動きは意外と早く、素早く逃げます。メスは気に入った場所にとどまり繁殖し、オスはメスを求めて移動しますが、移動範囲は3カ月間で数mほどです。
メスは交尾中にオスを食べてしまいますが、食べられている間に交尾が続けられるので、子孫を残すために有利となります。ただし、メスは複数のオスと交尾すると考えられ、一度交尾をすると2年間精子を蓄えられるとされます。

<注意!>
セアカゴケグモが積極的に人間を襲うことはありませんが、間違えて触ると咬まれることも。服の中に潜んでいて咬まれる可能性もあります。セアカゴケグモが発見された地域では、むやみにクモを触らないように気を付けましょう。

メスに咬まれると激しい痛みを感じた後、腫れて熱がでます。オスも毒を持ちますが、顎が小さくて危険性は低いとされます。しかし、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性がありますので、咬まれたら病院に行きましょう。発見された地域では、毒を抜く吸引器の準備が大切です。

原産地のオーストラリアでは、年間数千人が咬まれていて、体の弱い人は死亡する場合も。セアカゴケグモが日本で増えてしまうと、咬まれる人がたくさん出てしまいます。個体数が少ないうちにしっかり対応することが大切です。外来種対策は初期対応が重要です!

セアカゴケグモが怖いからと殺虫剤を撒き散らしてしまうと、他の在来種の生き物たちが死んでしまいます。セアカゴケグモを食べてくれるような生き物が死んでしまうと、セアカゴケグモの幼体の生存率が高まるので要注意。爆発的に増える可能性があります。

危険外来生物を正しく恐れ、しっかり対策しましょう!




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毒グモに注意!特定外来生物セアカゴケグモ!

セアカゴケグモ Latrodectus hasseltii.HideakiKato.jpg
セアカゴケグモ (Latrodectus hasseltii)。メスの体は黒くて腹部に赤い模様がある

セアカゴケグモは外来種で、もともとオーストラリア周辺に分布している毒グモです。荷物に紛れて日本に入り込んでしまい、1995年に初めて大阪で発見されました。既に北海道から沖縄まで日本各地で見つかっています。雪が降るような地域でも越冬しますので、放置しておくとどんどん広がってしまいます。
気温10℃以下で餌を食べなくなり冬眠すると考えられ、−3℃でも越冬可能です。

セアカゴケグモ.卵.雌雄.jpg
オス (左上), メス (右), 卵のう (左下)
オスは45〜90日、メスは75〜120 日で性成熟
寿命:オスは 6か月、メスは 3 年

オスは小さくて体長5mmほどで、メスは体長10mmほど。活動の適温は15℃から25℃で、暖かくなると2週間ごとに卵のうを連続して3個ほど産み、年に3回ほど繁殖するようです。
ひとつの卵のうには、卵が100個以上入っていて、大きなメスは250個も。メスの寿命は3年ほどなので、1個体で生涯に5000個以上卵を産みます。

セアカゴケグモ.卵のう.繁殖.jpg

卵は1週間ほどでふ化して、幼体は卵のうの中でさらに1週間過ごします。そして、体に栄養を吸収して成長すると、1回脱皮をした後、外に出て来ます。
子供たちは、母親と一緒に棲んでクモの糸にかかった餌を食べ、時には共食いもします。また、在来種のクモなどにも捕食されるので、成体になれるのは10%ほど。
子グモたちは脱皮を繰り返し、暖かい時期はオスは2カ月、メスは3カ月で成体になります。


綺麗だけれど...危険な毒グモ!
セアカゴケグモは神経毒を持ち、咬まれると体調が悪くなりますので気を付けてください。見つけたら殺虫剤を使ったり、棒でつついてつぶしたりして殺してください。

セアカゴケグモを見つけたら冷静に対応し、殺した後でいいので写真を撮ってみてください。
行政に報告していただければ、今後の対策のために大変助かります。全国各地、市も県も対策していますので、見かけたらぜひご報告ください。


<注意!>
セアカゴケグモは特定外来生物に指定されているので、生きた状態で運ぶことが禁止されています。
面白い雲を見つけたからと言って、家に持ち帰ったりしないように、気を付けてください。卵も移動禁止です!




Youtube 加藤英明【公式】かとチャン

セアカゴケグモ捕獲大作戦!
セアカゴケグモ.加藤英明.jpg



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特定外来生物、ツマアカスズメバチ!日本侵略中

ツマアカスズメバチVespa velutina.1.加藤英明.jpg
ツマアカスズメバチVespa velutina (特定外来生物)

ツマアカスズメバチは、中国や台湾、インドネシアなどの東南アジアに広く分布します。

長崎県の対馬に侵入したツマアカスズメバチは、中国南部原産の亜種V. velutina nigrithorax。黒っぽい体で腹部の先端が明るい赤褐色、足先が黄色で特徴的です。また、頭部は黒くて顔は黄色、腹部は黒くて後方の黄色部分は幅広い。※多少の個体差あり。

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対馬産ツマアカスズメバチ

日本で繁殖しているツマアカスズメバチは、韓国から侵入したものと考えられます。本種は韓国でも外来生物であり、2003年に釜山で初めて確認された後、拡散。2010年頃、釜山経由で対馬の北部から侵入したようです。2013年には対馬で定着が確認され、2015年8月には福岡北九州市、2019年11月には山口県防府市で営巣が確認されています(2015年1月特定外来生物に指定)。

ツマアカスズメバチは、在来のスズメバチ類に比べると小型で、体長は20mm(雄蜂は24mm、女王蜂は30mm程)。しかし、在来種よりも大きな巣を形成し。その巣は60cmから1mほどの大きさになることも。巨大な巣には、数千匹が暮らします。

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10mもの高さの樹上に大きな巣を形成する。出入口は上部横方向

性格は、獰猛で攻撃的。ミツバチなどの昆虫を捕食します。通常は獲物を追跡して捕獲しますが、ミツバチのコロニーを見つけると待ち伏せし、巣に戻る二ホンミツバチを待ち伏せて捕獲します。対馬でニホンミツバチが激減している理由のひとつと考えられています。

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力強く羽ばたきホバリングして待ち伏せし、帰巣するニホンミツバチを捕まえて連れ去る。蜂洞前

成虫の餌は、樹液や花の蜜など。幼虫は肉食で、成虫は巣の中で待つ幼虫のために餌となる昆虫等を捕獲します。巣に持ち帰った獲物は細かくされて、幼虫に与えられます。

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ツマアカスズメバチの幼虫 ※生きた状態で移動できません

ツマアカスズメバチは寒い冬には死んでしまいますが、女王蜂は晩秋に倒木などの隙間に入り越冬します。春には低木や木の洞に小さな巣を作り、成虫の数が増えると夏以降に木の高い場所に新しい大きな巣を作ります。夏の後半から晩秋には、新しい女王蜂が数個体誕生し分散します。

ツマアカスズメバチが最も活動する時間帯は、朝から正午。夕方には巣に戻り休みます。巣を刺激すると、ターゲットを追尾して攻撃しますので、巣には近づかないようにしましょう。

刺されると、日本のスズメバチ類と同様、激しく痛み患部が膿み、場合によってはアナフィラキシーショックを起こすことがあります。刺された場合は、医療機関を受診してください。

ツマアカスズメバチVespa velutina.6.加藤英明.静岡大学.jpg


ツマアカスズメバチを見つけたら、すぐ行政に連絡してください。
早期発見と駆除が大切です!


※ツマアカスズメバチは特定外来生物で、幼虫やさなぎを含め、許可なく生きた状態で運ぶことは禁止されています。殺虫剤等で殺処分しましょう。


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外来生物、オオマリコケムシ!拡散に注意!

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オオマリコケムシPectinatella magnifica

水辺で見つかる円盤状の巨大なクラゲのような生き物は…北アメリカ東部原産の外来生物オオマリコケムシ。寒天質で、配管などを詰まらせてしまう厄介者です。巨大な体で一つの生物ではなく、体長1.5mmほどの小さな虫が集まったもの。その個虫たちが寒天質を分泌して成長した群体がさらに集まって、直径60cmほどの巨大な群体集を形成します。

外来生物のオオマリコケムシは、1972年に山梨県の河口湖で初めて記録され、その後は霞ヶ浦や琵琶湖など、日本各地の湖沼で定着が確認されています。

驚くべきはその繁殖力。小さな虫型の個虫は、雌雄同体。有性生殖で繁殖しますが、その他に親の体の一部から体が形成されて増殖する出芽、体内で休芽と呼ばれるキチン質の殻に包まれた種を形成、クローンがどんどん増えていきます。寒い冬には親個虫は死んでしまい、寒天質の群体はボロボロに壊れてしまいますが、オオマリコケムシは死滅前に放出した休芽の状態で越冬し、翌春、水温が15℃を超える頃になると発芽して成長し、増殖して群体を形成します。

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この休芽が厄介で、水鳥の足についたりして各地に運ばれる。

オオマリコケムシP. magnifica休芽.加藤英明.jpg
低温や乾燥にも耐える休芽(直径約1mm)。殻表面の棘で様々なものに付着して移動する。暖かくなると発芽して増殖する。餌は微生物で、触手冠で濾し取って食べる

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佐賀城で確認されたオオマリコケムシ。冬季、腐敗して強い臭を放つ。


コケムシのような動物は、4億8千万年ほど前に出現していて、現在、海や湖沼などに6000種ほどが生息しています。淡水には世界に100種ほど。日本にはカンテンコケムシPectinatella gelatinosa(準絶滅危惧:環境省)など26種ほどが生息しています。





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