要注意!石垣島に定着したグリーンイグアナ!

石垣島のグリーンイグアナiguana iguana.加藤英明HideakiKato.静岡大学jpg.jpg
性成熟に達した石垣産のメス ※体内に卵を確認(2月)

グリーンイグアナ(Iguana iguana)は、全長1.8mを超える大型のトカゲです。恐竜のような容姿につぶらな瞳、知能が高く、個体によっては飼育者とコミュニケーションがとれるため、愛玩用に好まれます。

しかし、野外繁殖個体は人間との関わりがないため、人を敵とみなし、近づけば逃げ出します。とても神経質で、捕獲個体を飼育しても拒食して死ぬまで餌を食べないことも…

不幸な個体を増やさないため、また、日本の生態系を守るため、グリーンイグアナを飼育する際には逸脱防止を徹底しましょう!
また、野外で本種を確認した時は、最寄りの警察、行政に連絡するとともに、捕獲を試みましょう。

グリーンイグアナの目撃情報・捕獲個体の引き取りは以下までご連絡ください。今後の調査研究に活用します。
〒422-8529 静岡県静岡市駿河区大谷836 静岡大学教育学部 加藤研究室
※日本の西南諸島を除き、野外での越冬は不可能です。亜熱帯気候の石垣島では野外で繁殖し、さらに沖縄本島でも目撃されています。


グリーンイグアナの繁殖期は11月から始まります。山に暮らす個体が産卵に適した低地に移動するため、農地や民家に侵入することもあります。グリーンイグアナの幼体と成体は、主に植物を餌とします。農作物や観賞用植物等が食べられないように気をつけましょう。
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奄美大島加計呂麻島に漂着した交雑ワニ!母方はシャムワニ

奄美大島加計呂麻島の交雑ワニ.DNA.Crocodylus siamensis.加藤英明HideakiKato.静岡大学ShizuokaUniversity.jpg

2017年10月31日と11月3日に、奄美大島加計呂麻島においてワニが発見されました。

国内の野外で発見されるワニの多くは、逃げ出した違法飼育個体。稀に国外から漂着したと考えられる個体が存在します。

生物は、自力で移動した場合や自然の作用で移動した場合、“自然分布“と判断され、在来種として扱われます。奄美大島に流れ着いたワニが自然分布の可能性もありますが…
今回漂着したワニはイリエワニCrocodylus porosusとシャムワニCrocodylus siamensisの交雑個体であり、人為的に改変された生物です。
交雑によって遺伝子が変えられた生物は、遺伝子汚染の可能性があり、野外から取り除く必要があります。

もしも、自然分布で遺伝的に純粋なワニであった場合は…
危険動物なので、自治体の判断に委ねます。

今回、漂着交雑ワニのDNAを調べたところ、TAAACGAGAATCTATCTGTCTCTTGCA… 母系遺伝のミトコンドリアDNA配列がシャムワニと一致しました。母方はシャムワニ、父方はイリエワニということがわかります。
国外では中国や東南アジアで一般的に流通している遺伝子型であり、何らかの理由で海に流れ出たものが奄美大島に漂着したのでしょう。※ワニ類を国内へ許可無く持ち込むことは違法です。

過去に奄美大島には、ワニ類が流れ着いています。また、国内の他地域でもワニ類の捕獲記録が残ります。これらの漂流の経緯に、船舶等輸送中の逸脱など人為的な関わりがあったか否かはわかりませんが、生物の分散の歴史を垣間見ることができる貴重な記録です。
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外来種グリーンイグアナが大繁殖!島々では…

外来種グリーンイグアナiguana iguana. 轢死.jpg

グリーンイグアナは、南米から中米にかけて自然分布します。しかし、観賞用や食用のために他の地域に持ち込まれることが多々あり、常夏のカリブ海の島々では大繁殖しています。

日本の石垣島ほどの面積の島、グランドケイマン島では、1990年代に飼育個体が脱走し、野外で繁殖。定着初期に対処せず放置したことで、グリーンイグアナたちは沿岸部を中心に島全域に分布を広げ、現在の個体数は推定50万匹以上!大繁殖してしまいました。
絶滅が危惧される他種のイグアナへの悪影響のみならず、島の生態系を崩壊させる勢いです。

現在、行政によりグリーンイグアナが大量に駆除されています。
※以前は外来種も“保護”されていたため、駆除されていませんでした。

生息地の拡大を続けるグリーンイグアナは、町にも数多く現れます。道路で轢かれて死んでしまう個体も!飛び出すイグアナによる車両事故も起きています。

生物の取り扱いを間違えると、大変なことに!
人に持ち込まれたイグアナたちも不幸です…

外来生物を飼育する場合は、野外に入り込まないようにしっかり管理しましょう!
また、野外に侵入した個体はすぐに捕まえましょう。
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沖縄本島を侵略中!特定外来生物タイワンスジオ!

タイワンスジオElaphe taeniuran friesei.加藤英明HideakiKato..jpg

タイワンスジオは、台湾に生息する大型のヘビです。名前の由来は、尾に筋模様があるため。
無毒のヘビですが、日本の哺乳類や鳥類を捕食してしまうため、野外から取り除く必要があります。

タイワンスジオが数多く日本に持ち込まれたのは1970年代で、ヘビ酒や土産物製品等の利用目的とされます。きっと、逃げた個体が野外に定着したのでしょう。現在、沖縄本島中部の南北約15kmの範囲を越える地域でも確認されており、今後、さらなる分布拡大による在来生物への影響が懸念されます。

タイワンスジオが生息する地域には、ハブがいないとも言われます。これは、ハブが捕獲されて姿を消した環境に本種が侵入しやすかったことが考えらえます。“門番”としての働きのある在来種の消失が、外来種の定着を容易にしている可能性もあるでしょう。

タイワンスジオは、暖かくなる頃に繁殖のために活動が活発になりますが、気温が低い冬期や降水量が少ない時期には木の洞や岩の隙間の奥深くに入ってじっとしています。昼行性のヘビですが、人目につかない理由の一つです。全長は最大で2.7m。卵は大きく5cmほどで、産卵数は10個程度と少ないですが、一度定着すると取り除くことが難しいのが外来種。狙って捕獲することが困難です。

過去には1個体1万円で懸賞金がかけられたこともあり、多くの数が集められました。
懸賞金による捕獲は、特定外来生物の撲滅において、定着初期や個体数を減らした後の最後の仕上げにも効果的です。

沖縄でヘビの脱皮殻を見つけたら、調べてみましょう!体鱗列数と言われる“胴回りの鱗の列”が23列または25列であればタイワンスジオの可能性があります。
痕跡を調べることも、外来種防除に大切です!

タイワンスジオを見かけたら、最寄りの警察や行政に連絡しましょう!
※特定外来生物に指定されているため、許可なく飼育や移動ができません。殺した個体の移動はOKです。
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鱗の数でヘビの種類を見分けよう!体鱗列数

体鱗列数.加藤英明.HideakiKato.静岡大学.jpg
ニホンマムシ 体鱗列数21列

ヘビの鱗の数は、種類によって異なります。胴回りの鱗の列を数えると、どのような種類か推測することが可能です。体鱗列数が同じ種類では、鱗の形や突起などの違いを見てみましょう。

背中線上の鱗+両側の鱗の数
例)ニホンマムシ 背中1列+右10列+左10列=合計21列
※お腹の鱗は含めません

<ヘビ類の種類の判別方法>
体鱗列数の違い

<本州のヘビ> ※個体差があります
アオダイショウElaphe climacophora(23列)※25
タカチホヘビAchalinus spinalis(23列)
ニホンマムシGloydius blomhoffii(21列)※19, 25
ジムグリElaphe conspicillata(21列)
シマヘビElaphe quadrivirgata(19列)
ヒバカリAmphiesma vibakari(19列)
ヤマカガシRhabdophis tigrinus(19列)
シロマダラDinodon orientale(17列)

<沖縄のヘビ>
ハブProtobothrops flavoviridis(〜37列)
サキシマスジオElaphe taeniura schmackeri(27列)※25
ヨナグニシュウダElaphe carinata yonaguniensis(25枚)
サキシマハブProtobothrops elegans(25列)※23
シュウダElaphe carinata carinata(23枚)
ヒメハブOvophis okinavensis(23列)
ガラスヒバァAmphiesma pryeri(19列)
アカマタDinodon semicarinatum(17列)
サキシマアオヘビCyclophiops herminae(17列)※19
リュウキュウアオヘビCycophiops semicarinatus(15列)

<外来種のヘビ>
タイワンハブProtobothrops mucrosquamatus(25枚)
タイワンスジオElaphe taeniura friesi(23列)※25

脱皮殻の鱗の数からも推測可能です。
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