石垣島に定着したグリーンイグアナの体内に、寄生虫を確認しました。
その正体は中南米原産の線虫Ozolaimus megatyphlonで、元々日本の野外にはいない寄生虫です。
(交接刺がある典型的な蟯虫類で、クロアカ開口部背部の付属器はV字型。※参照 吉田ほか, 2018)
過去に国内では飼育個体のグリーンイグアナから確認された寄生虫ですが、野外に定着した個体から確認されたのは初めて。きっと、定着初期の個体が保持していた寄生虫が野外に入り込み、感染を広げているのでしょう。
※国外ではシンガポールに定着したグリーンイグアナの体内からも本種が確認されています。
野外での感染経路は不明ですが、糞に含まれる寄生虫の卵が口径感染している可能性が高く、石垣島に生息する在来の爬虫類などへの感染拡大が懸念されます。※人体への影響は不明。
寄生虫に感染すると…腹部の張りや食欲不振、腸閉塞や体内各器官への迷入損傷などを引き起こします。寄生虫による体への負担は大きく、感染個体を死に至らしめます。
<輸入動物を扱うときは要注意!>
宿主と同じ原産地の寄生虫が検出されることがあります。
他の飼育個体に感染させない、野外に広げないためにも、新しく飼育する個体は動物病院で検査を!
死亡した個体は寄生虫等に感染している可能性があります。寄生虫や病原体の野外への侵入を防止するのため、土に埋めず、焼却するようにしましょう。
Youtube加藤チャンネル(かとチャン)
外来の寄生虫が持ち込まれてることが判明【怪獣イグアナ】in沖縄・okinawa≫生物ハンター加藤英明・Japan wild hunter
<参考>
吉田圭太, 加藤英明, 浅川満彦. 2018. 石垣島に生息するグリーンイグアナ(Iguana iguana)から得られた蟯虫類Ozolaimus megatyphlonの記録. JVM獣医畜産新報 71, 758-759.