国内で販売されていたピンクゼブラダニオが、“遺伝子を組み換えられた生物”であることが判明しました。ピンクゼブラダニオは、複数の店が輸入し、10年ほど前から全国で販売されてきました。未認証の生物ため、早急に回収する必要があります。飼育者は、購入店または譲り渡した人にお問い合わせください。遺伝子が組み換えられた生物は、カルタヘナ法により、許可なく輸入・販売すること等が禁止されています。ピンクゼブラダニオと交配した個体も同様です。
ゼブラダニオは、観賞魚として世界中で流通し、愛好家に飼育されていますが、その中には、遺伝子が改変されたものやそれとの交雑、未知の遺伝子改変個体などが混入している可能性があります。取り扱いには注意しましょう。
ゼブラダニオとは…
ゼブラダニオは全長4cmほどで、インドやネパールに自然分布しています。ダニオ属の魚は、南アジアに19種が存在しますが、日本には近縁種がいなく、在来種と交雑することはありません。また、野外では寒い冬を乗り越えられずに死んでしまいますが、温暖な気候の沖縄では、過去に放されたゼブラダニオが野外で繁殖しています。生態系に与える影響が危惧されるため、野外の個体を早急に取り除く必要があります。
正体のわからない生物を持ち込まない!
海外では、遺伝子が組み換えられた生物が販売されていることがありますが、これらの生物を許可なく日本に持ち込こむことはできません。遺伝子が組み変えられた生物は、外部形態から見分けることが困難なため、個人で輸入したり持ち込んだりする際には注意が必要です。
“旅行先で購入した魚が遺伝子組み換え生物だった” とならないため、生き物はできるだけ国内の信頼できるお店から購入しましょう。
![遺伝子改変生物の脅威.ピンクゼブラダニオ.遺伝子組み換え.jpg](https://shizuokakameken.up.seesaa.net/image/E981BAE4BC9DE5AD90E694B9E5A489E7949FE789A9E381AEE88485E5A881.E38394E383B3E382AFE382BCE38396E383A9E38380E3838BE382AA.E981BAE4BC9DE5AD90E7B584E381BFE68F9BE38188.jpg)
遺伝子組み換え生物を取り扱う時には…
国際条約において、輸出業者は自国の政府機関を通し、相手国に対して事前に通知しなければなりません(生物多様性条約におけるカルタヘナ議定書)。輸入国はそれに対してリスク評価をして対応します。国内では、カルタヘナ法に基づき、遺伝子組換え生物の輸入・流通・栽培等は事前に行政に申請を行い、承認又は確認を受ける必要があります。
生物を輸入するリスク
日本に許可なく輸入できない生物は、遺伝子組み換え生物の他にも、特定外来生物や希少動物など、数多く存在します。十分な知識がない場合は、生物を輸入してはいけません。しかし、注文した側は、どのような生き物が入っているか、受け取るまでわかりません。生物を輸入することはとてもリスクのあることなのです。リストの生物とは異なる種類が送られてくることもありますし、送金しても送られてこないことすらあるようです。
生物と関わることは大切なこと
生き物を飼育すること自体は好ましいことです。生き物を大切にする心を育てたり、責任感を持つようになったりすることが期待されます。ただし、それには生き物との関わりについて、しっかり教育を受ける必要があります。
日本では動物愛護管理法において、爬虫類や鳥類、哺乳類を販売するときに、販売者は購入者に対し、その生物について説明することが義務付けられています。また、販売側は動物取り扱い業として登録して、年に1回講習を受けなければなりません。しかし、熱帯魚を含む魚類や両生類、昆虫を販売するときには説明の義務はなく、誰でも自由に売買できるのが現状です。業者としての登録も説明義務も、研修もありません。
もちろん、多くのお店が気を付けて自主的に勉強されていますが、一軒でも取り扱いを間違えば、生態系に悪影響を与える事態に成りかねません。今後は、熱帯魚等販売店にも登録を義務づけたり、ライセンス制にしたりするなどの工夫が必要です。
〜遺伝子組み換え生物GMO(Genetically Modified Organism)とカルタヘナ法〜
遺伝子組み換え生物は、人為的に遺伝子を変えられた生物のことです。今まで品種改良は、人為的に受精して交配されてきましたが、それでは近縁な種や種内での交配しかできません。遺伝子を直接操作することで、遠い類縁関係でも異なる生物の遺伝子を組み込むことができ、その遺伝子がタンパク質を作ります。例えば、メダカにクラゲの発光遺伝子を組み込むことで、光るメダカが作られます。植物に細菌の遺伝子を組み込むことで、殺虫作用のある物質を植物の体内で作られるような植物になります。その植物を食べた虫が死ぬということです。このような植物が野外に侵入し、組み換えられた遺伝子を含む花粉が拡散したら、野外の植物と受精して殺虫効果のある植物が新たに生まれてしまいます。
そこで、日本では2004年にカルタヘナ法で認証されていない遺伝子組み換え生物の輸入を禁止しました。遺伝子組み換え生物の国境を越える移動に焦点を合わせて、生物の多様性の保全および持続可能な利用に悪影響を及ぼさないように利用するための手続等を定めたものです。もともと、国際間で取り決めされていて、2003年に遺伝子組み換え作物などの輸出入時に輸出国側が輸出先の国に情報を提供、事前同意を得ることなどを義務づけた国際協定、バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書(バイオ安全議定書)が発効されていました。それに対応するための国内法がカルタヘナ法です。
目に見えない遺伝子汚染を引き起こさないために、この条約は存在しているのです。
●忍び寄る遺伝子改変生物(静岡新聞2020年11月5日夕刊一面)
●その他、改良メダカの取り扱いに注意!
YouTubeかとチャン
【緊急】実際に目撃した日本古来の在来種の危機…
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