アリゲーターガーなどのガー類の飼育許可に必要な条件は?特定外来生物

「ガー類が特定外来生物に指定されるときに、どのような手続きが必要になるか」との連絡を数多く受けます。

特定外来生物は、基本的に個人が愛玩用に飼育することができません。しかし、規制前に飼育していた個体については、規制後6か月以内に許可が得られた場合に継続して飼育することが可能です。

ただ、その許可を得ることが大変で、環境省が示す基準に見合った施設を用意しなければなりません。まず、飼養施設(水槽など)では、生物の体力と習性に応じた堅牢な構造が求められます。飼養施設を許可なく異なる大きさのものに変えることはできませんので、アリゲーターガーであれば、成長後を想定した飼育施設を用意しましょう。また、振動や転倒、落下による外部からの衝撃に耐えられる施設が必要となります。

野外の池などで飼育する場合は、管理者以外が容易に近づくことができないようにフェンス等で囲う必要があります。また、洪水の際に流されないような措置が必要です。簡単に許可は得られません。

特定外来生物の繁殖は禁止されているため、雌雄を分けて飼育する施設を用意する必要があります。

飼養許可が得られた場合、許可には有効期間がありますので、継続飼育の際は再度継続申請を行ってください。許可取得後は、取り扱い等の条件に違反すると法律違反となり、罰則の対象となりますのでご注意ください。


<注意事項>
申請した個体のみ飼育することができます。
許可を得た人のあいだで譲渡することはできません。

もちろん、規制後に飼養許可を得ている人に譲渡する行為は外来生物法違反となります。
許可を得て飼育をしても、繁殖させることはできません。

継続飼育を行わない場合は、規制前に許可申請を行う人や施設などに引き取りをお願いしましょう。今後、個人で飼育しているガー類の寿命が終えた後、水族館や研究施設でのみガー類を見ることができます。
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危険!アリゲーターガーを逃がさないで!

アリゲーターガーA. spatula繁殖幼魚.静岡大学加藤英明HideakiKato.保全生物学研究専門.jpg
アリゲーターガーAtractosteus spatulaの幼魚

小さなアリゲーターガーが安く販売されていますが...
本種は大型で、寿命は50年以上。個人では最後まで飼育することが困難です。

アリゲーターガーは、アメリカ南東部に分布し、河川から池沼、河口付近まで生息します。性成熟は10年ほどで遅いのですが、産卵数は10万個以上。野外に定着すると、大繁殖する恐れがあります。

産卵の時期は、水温が20℃を超える頃。アリゲーターガーは、植物が茂る浅瀬に移動して産卵します。卵は3日ほどで孵化し、7mmほどの仔魚は、卵黄の吸収が終わるまで1週間ほど水面に浮かぶ植物に身を隠します。成長は速く、野外では1年間で全長30pほどに成長し、3年間で1mを超えます。その後の成長は緩やかです。

メスの後ろをオスが追いかけていたら要注意!
繁殖行動=定着の可能性大!


河川に複数個体が放された場合、繁殖につながる恐れがあります。

2018年4月から外来生物法により飼育等が原則禁止されますが、野外に放さないようにしましょう。


アリゲーターガーが野外で発見された場合、ご連絡ください。
〒422-8529 静岡県静岡市駿河区大谷836 静岡大学教育学部(加藤研究室)

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繁殖に成功!静岡市麻機産のホトケドジョウを守ろう!

静岡大学教育学部加藤研究室では、絶滅危惧種ホトケドジョウLefua echigoniaの保全を行っています。室内水槽で飼育して観察することで、絶滅が危惧される本種の繁殖様式が徐々に明らかになってきました。
静岡市麻機産ホトケドジョウLefua echigonia繁殖.加藤英明HideakiKato1
繁殖期になるとオスは縄張りを形成します。そして、その縄張りにメスが進入して卵を産むと放精します。縄張りに複数のメスが訪問する“訪問型複婚”の繁殖様式です。

静岡市麻機産ホトケドジョウLefua echigonia繁殖.加藤英明HideakiKato2.jpg
卵は36時間ほどで孵化します。

静岡市麻機産ホトケドジョウLefua echigonia繁殖.加藤英明HideakiKato3.jpg

卵黄が完全に吸収されると泳ぎだし、稚魚は餌を食べ始めると、どんどん成長します。

静岡市の巴川流域では、数か所でホトケドジョウの生息が確認されています。過去には麻機地域に広く生息していたようですが、開発により生息地が失われ、現在わずかに残った場所に少数が生息しています。
これらを研究室で繁殖させることは可能ですが、麻機地域には野生に戻す環境が十分にありません。まずは、ホトケドジョウが棲むことのできる環境を取り戻す必要があります。

※産地が異なる個体、産地が分からない個体の放流は禁物です。観賞用に販売されているホトケドジョウを野外に放さないようにしましょう。
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ホトケドジョウを守ろう!

ホトケドジョウLefua echigonia.静岡市.jpg

静岡県には、ホトケドジョウが西部から東部まで広く分布しています(伊豆半島を除く)。
体は太くて短く、全長は7cmほど。澄んだ水で流れの緩やかな川に、ひっそりと暮らしています。

ホトケドジョウLefua echigonia静岡市2.jpg開発による地域絶滅が各地で進行している現在、残っている個体群を大切に守る必要があります。
静岡市の生息地は極わずか!

ホトケドジョウは、底に枯葉が堆積するような環境を好みます。
水路のコンクリート化は要注意です!



ホトケドジョウ
静岡県レッドリスト:絶滅危惧U類(Vulnerable, VU)
          絶滅の危険が増大している種
環境省レッドリスト:絶滅危惧TB類(Endangered, EN)
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