麻機遊水地には、外来種のライギョが生息しています。本種は1923年頃に国内に持ち込まれ、各地の川や池沼に広がりました。1960年代には静岡市麻機の沼池で数多くみられようになりましたが、近年は減少傾向にあると考えられます。その原因は、水環境悪化の他、餌となる在来生物の減少が考えられます。
麻機遊水地では、在来生物を守るため、学識委員やNPO団体、地域住民、国、静岡県、静岡市などによって構成された麻機遊水地保全活用推進協議会により、自然再生が試みられています(自然再生推進法平成14年法律第148号第8条の規定により自然再生協議会を設置)。
外来種であるライギョは魅力ある魚で、飼育愛好家や釣り愛好家に親しまれています。しかし、自然再生の場である遊水地では、ライギョの他、タイリクバラタナゴやコイなどすべての外来生物が防除の対象となります(今後、釣り用区画が設けられて管理すれば問題ない)。
<ライギョの消化管内から得られたフナ類>
外来種は、豊かな自然生態系に入り込むと爆発的に増えますが、大食なため餌不足に陥ります。その後、個体数は減りますが、わずかに残った在来種の数が増えると、再び数を増やします。外来種が在来種を押さえつけてしまうので、外来種を取り除かなければ豊かな自然は戻りません。しかし、そこに再度外来種が放されてしまうと、同じことの繰り返しです。
ライギョは、人為的な移動の他、生息数の増加や分布の拡大が進めば、特定外来生物に指定される可能性があります。今後は、愛好家の終生飼養はもちろんのこと、釣りなどレジャー用に管理された水場で本種を楽しむことが必要となるでしょう。
「まだ特定外来生物ではないから大丈夫!」と考えず...魅力あるスネークヘッド類との適切な関わりが早急に求められます。
※放流要注意
カムルチー(ライギョ)
Channa argus:北海道,長崎,山口,愛知,滋賀,群馬では移植禁止(各道県漁業調整規則または内水面漁業調整規則).英国では保有・放流禁止,米国では輸入・移植禁止(国立環境研究所より)。