<監修者の言葉>
フィールド探検に出かけよう!図鑑を読んで、は虫類や両生類に興味を持ったら、あなたも野外へ探検に行ってみましょう。なかなか会うのが難しい種もいますが、会えたときは感動です。
トルクメニスタンの砂漠で調査
幻のトカゲを探す旅カエルのような顔。口もとの大きなひだ。灼熱の砂漠で、不思議なトカゲに出会いました。私は、日本人で初めて野生の姿の撮影に成功し、まだ名前もないこのトカゲに、オオクチガマトカゲと名前をつけました。

海外に出て調査を始めたころ、旧ソ連時代(今のロシア)の古い教科書の中に、不思議なトカゲの絵を見つけました。トカゲの口が、顔からはみ出るぐらい大きいのです。「この不思議なトカゲを見てみたい!」私は、そのトカゲを探すために、まずはキルギスという国の砂漠に行きました。砂漠には足跡が残るので、トカゲが潜む穴を見つけることができます。土を掘り返して、全長1mのトカゲを捕まえることができました。しかし、残念ながら、不思議なトカゲではありませんでした。その正体は、キルギスでは絶滅したといわれていた、希少なサバクオオトカゲでした。

そのあと、ウズベキスタンという国に行きました。この国では、なかなか不思議なトカゲの情報を得られませんでした。やっと捕まえられたのは、ロシアリクガメ。砂漠にすむカメで、暑さを避けるために深い穴を掘って、すんでいました。
さらに、トルクメニスタンという国に行きました。すると、そこにすんでいる人が、ヘリパタシという不思議なトカゲがいることを教えてくれました。ヘリパタシとは、“大きな耳”という意味だそうです。私は、足が砂に潜ってしまうほど歩きにくい砂漠で、何日もトカゲの姿を探しました。そして、大きな砂丘の上で、ついに不思議なトカゲ、ヘリパタシと出会うことに成功したのです。大きく広がった口は、まさに“大きな耳”でした。このトカゲはガマトカゲの仲間でしたが、そのころ、まだ日本の図鑑には載っていませんでした。そこで私は、「大きな口を持つガマトカゲ」として、オオクチガマトカゲと名前をつけ、日本で紹介しました。

この地球上に存在する爬虫類と両生類は、数知れません。未知のものも数多くいるでしょう。これらの生き物は、砂漠やジャングル、川や海にもすんでいます。空を飛んだり、海を泳いだりするものや、大きなものから小さなものまで様々です。そんな爬虫類と両生類の不思議な魅力にひきつけられました。一体、どのような一生を送っているのでしょう。私は、子どものころ、世界中に生息する爬虫類、両生類を追いかける夢をもちました。今では世界のジャングルや荒野を駆け廻っています。みなさんも、世界中の爬虫類、両生類の世界をのぞきに、フィールド探検に出かけてみましょう。
加藤英明