現地レポート第57弾!グアドループの自然と動物〜遺伝子汚染と種の消失〜

グアドループGuadeloupe.交雑イグアナHybrid Iguana1.静岡大学加藤英明HideakiKatoShizuokaUniversity.jpg
美しい海に囲まれたカリブ海の小アンティル列島。グアドループ島沿岸には不思議な色や形のイグアナたちが潜んでいる

グアドループGuadeloupe.交雑イグアナHybrid Iguana2.静岡大学加藤英明HideakiKatoShizuokaUniversity.jpg
アンティルイグアナと外来生物グリーンイグアナの交雑個体。頬から顎にかけて不揃いな形の鱗が並び、胸垂前方の棘状の鱗が癒合する。交雑個体はグリーンイグアナともアンティルイグアナとも交雑し、交雑個体同士でも繁殖すると考えられている。

グアドループGuadeloupe.交雑イグアナHybrid Iguana3.静岡大学加藤英明HideakiKato.ShizuokaUniversity.jpg
人為的に持ち込まれた生物による遺伝子浸透は、種の消失につながる。交雑が確認された地域では、移入と推測される種と交雑個体を取り除く必要がある。今後カリブ地域では、グリーンイグアナのみならず交雑個体も潜在的な脅威とみなし、早急に防除する必要があるだろう。


著書
グアドループの自然と動物〜遺伝子汚染と種の消失〜. 2015. ビバリウムガイド, 70: 77-81. 加藤英明.
(概要:遺伝子汚染によりカリブ海の島々から姿を消しているアンティルイグアナ(Iguana delicatissima). 交雑を引き起こす外来生物グリーンイグアナ(I. iguana)の移入と拡散の経緯、汚染の進行状況、その他、グアドループアライグマ(Procyon minor)など。
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現地レポート第56弾!グアドループの自然と動物〜アンティルイグアナの生態〜

アンティルイグアナIguana delicatissima.加藤英明HideakiKato.1.jpg
アンティルイグアナ(Iguana delicatissima)のオス。性成熟に達した個体の体色は暗灰色。胸垂前方の鱗は大きく刺状で、額はこぶ状に突出する。頭部は白く、繁殖期には頬や口先が桃色に染まる。カリブ海の小アンティル列島に分布し、健全な生息地は地球上にわずか数か所のみ。世界で最も希少なイグアナの一つである

アンティルイグアナIguana delicatissima.加藤英明HideakiKato.2.jpg
アンティルイグアナの楽園。砂浜で、一筋の痕跡を発見した。筋の両側には足跡が形成されている。その幅は20cmほど。きっとアンティルイグアナだ。しかし、周囲を見渡してもトカゲの姿は見つからない。きっと私の姿に警戒して、藪の中に逃げ込んだのであろう

アンティルイグアナIguana delicatissima.加藤英明HideakiKato.3.jpg
闘争を繰り広げるオス。体を大きく動かし、相手に力を見せつける


著書
グアドループの自然と動物〜アンティルイグアナの生態〜. 2015. ビバリウムガイド, 69: 69-73. 加藤英明.
(概要:アンティルイグアナIguana delicatissimaの形態的特徴と生態, 種分化. プティテールアノールAnolis chrysops, アンティルヒメヤモリSphaerodactylus fantasticusなど)
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現地レポート第54弾! ランカウイ島の自然と動物

ミズオオトカゲVaranus salvator macromaculatus. 加藤英明HideakiKato.jpg
ミズオオトカゲは警戒心が強い。人と目が合う時間が長いほど警戒心が高くなり、森に姿を消してしまう。一方、オオトカゲの姿に気づいていない人に対しては、近くを通っても逃げない。食性は肉食で、ネズミやネコなども食べ、自然生態系を健全に保つ役割がある

マレーヒヨケザルCynocephalus variegatus. 加藤英明Hideakikato.jpg
ラヤ山で出会った珍獣マレーヒヨケザル(Cynocephalus variegatus)。夜行性で昼間は樹にしがみついて休む。木登りは苦手だが、滑空して数十メートルも移動することができる

バタフライアガマLeiolepis belliana. HideakiKato.jpg
バタフライアガマ(Leiolepis belliana)の生息地。地表が暑くなり、他の生き物たちが姿を消す頃になると巣穴から現れる。砂地で植物が覆う場所に好んで巣穴を形成する


著書
ランカウイ島の自然と動物. 2014. ビバリウムガイド, 66:71-75. 加藤英明.
(概要:身近に暮らす生き物たち, オオトカゲの役割, バタフライアガマの生態など. ミズオオトカゲVaranus salvator macromaculatus,オジロクロガメSiebenrockiella crassicollis, ジャワヤマカガシRhabdophis chrysargos, アジアジムグリガエルKaloula pulchra, マレーヒヨケザルCynocephalus variegatusなど)

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現地レポート第53弾! セーシェルの自然と動物〜世界最長寿のゾウガメ〜

エスメラルダEsmeralda. 加藤英明HideakiKato.jpg
高齢なエスメラルダは、動きがとてもゆっくり。体を持ち上げるときは、力が入らず左右に体が揺れるほど

エスメラルダEsmeralda2. 加藤英明HideakiKato.jpg
世界最長寿とされるバード島のエスメラルダ。初めは警戒していたが、徐々に私に心を開くようになった。カメは気持ちが顔に表れる動物である

ホウシャガメAstrochelys radiata. 加藤英明HideakiKato.jpg
インド洋と砂浜、ホウシャガメ(Astrochelys radiate)。海辺周辺の藪に好むが、海に近づくことはない。リクガメが海に流されて新天地に渡る事象は、極わずかであろう


著書
セーシェルの自然と動物. 世界最長寿のゾウガメ. 2014. ビバリウムガイド, 66: 71-75. 加藤英明
(概要:世界最長寿のゾウガメ ”エスメラルダ” の歴史と年齢推定について, バード島に移入されたホウシャガメAstrochelys radiate, セーシェルマブヤトカゲTrachylepis sechellensis, マヘヒルヤモリPhelsuma longinsulae, セグロアジサシSterna fuscataなど)
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現地レポート第52弾! セーシェルの自然と動物〜後編〜

アルダブラゾウガメDipsochelys dussumieri. 加藤英明HideakiKato.jpg
強い日差しを浴びながら浜辺を移動するアルダブラゾウガメ(Dipsochelys dussumieri)。降水量が少ない時期は、水分の多くを植物から得ている。海水を飲むことはない

隠れるアルダブラゾウガメDipsochelys dussumieri. 加藤英明HideakiKato.jpg
ココナッツ農園の跡地で暮らすアルダブラゾウガメ。大きな個体も動かなければ見つけにくい

ジャイアントマブヤトカゲTrachylepis wrightii. 加藤英明HideakiKato.jpg
セーシェル諸島固有のジャイアントマブヤトカゲ(Trachylepis wrightii)。全長30cmを超える大型のスキンクで、昆虫から果実、小鳥まで捕食する。一度に5個前後の卵を産む


著書
セーシェルの自然と動物. 後編. 2014. ビバリウムガイド, 65: 71-75. 加藤英明.
(概要:島の形成とゾウガメの起源, アルダブラゾウガメDipsochelys dussumieriの生態調査, 世界最大のリクガメ:セーシェルセマルゾウガメDipsochelys hololissa, ジャイアントマブヤトカゲTrachylepis wrightii, セーシェルジャイアントヒルヤモリPhelsuma sundbergiなど)
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