ツマアカスズメバチは、中国や台湾、インドネシアなどの東南アジアに広く分布します。
長崎県の対馬に侵入したツマアカスズメバチは、中国南部原産の亜種V. velutina nigrithorax。黒っぽい体で腹部の先端が明るい赤褐色、足先が黄色で特徴的です。また、頭部は黒くて顔は黄色、腹部は黒くて後方の黄色部分は幅広い。※多少の個体差あり。
対馬産ツマアカスズメバチ
日本で繁殖しているツマアカスズメバチは、韓国から侵入したものと考えられます。本種は韓国でも外来生物であり、2003年に釜山で初めて確認された後、拡散。2010年頃、釜山経由で対馬の北部から侵入したようです。2013年には対馬で定着が確認され、2015年8月には福岡北九州市、2019年11月には山口県防府市で営巣が確認されています(2015年1月特定外来生物に指定)。
ツマアカスズメバチは、在来のスズメバチ類に比べると小型で、体長は20mm(雄蜂は24mm、女王蜂は30mm程)。しかし、在来種よりも大きな巣を形成し。その巣は60cmから1mほどの大きさになることも。巨大な巣には、数千匹が暮らします。
10mもの高さの樹上に大きな巣を形成する。出入口は上部横方向
性格は、獰猛で攻撃的。ミツバチなどの昆虫を捕食します。通常は獲物を追跡して捕獲しますが、ミツバチのコロニーを見つけると待ち伏せし、巣に戻る二ホンミツバチを待ち伏せて捕獲します。対馬でニホンミツバチが激減している理由のひとつと考えられています。
力強く羽ばたきホバリングして待ち伏せし、帰巣するニホンミツバチを捕まえて連れ去る。蜂洞前
成虫の餌は、樹液や花の蜜など。幼虫は肉食で、成虫は巣の中で待つ幼虫のために餌となる昆虫等を捕獲します。巣に持ち帰った獲物は細かくされて、幼虫に与えられます。
ツマアカスズメバチの幼虫 ※生きた状態で移動できません
ツマアカスズメバチは寒い冬には死んでしまいますが、女王蜂は晩秋に倒木などの隙間に入り越冬します。春には低木や木の洞に小さな巣を作り、成虫の数が増えると夏以降に木の高い場所に新しい大きな巣を作ります。夏の後半から晩秋には、新しい女王蜂が数個体誕生し分散します。
ツマアカスズメバチが最も活動する時間帯は、朝から正午。夕方には巣に戻り休みます。巣を刺激すると、ターゲットを追尾して攻撃しますので、巣には近づかないようにしましょう。
刺されると、日本のスズメバチ類と同様、激しく痛み患部が膿み、場合によってはアナフィラキシーショックを起こすことがあります。刺された場合は、医療機関を受診してください。
ツマアカスズメバチを見つけたら、すぐ行政に連絡してください。
早期発見と駆除が大切です!
※ツマアカスズメバチは特定外来生物で、幼虫やさなぎを含め、許可なく生きた状態で運ぶことは禁止されています。殺虫剤等で殺処分しましょう。