水辺で見つかる円盤状の巨大なクラゲのような生き物は…北アメリカ東部原産の外来生物オオマリコケムシ。寒天質で、配管などを詰まらせてしまう厄介者です。巨大な体で一つの生物ではなく、体長1.5mmほどの小さな虫が集まったもの。その個虫たちが寒天質を分泌して成長した群体がさらに集まって、直径60cmほどの巨大な群体集を形成します。
外来生物のオオマリコケムシは、1972年に山梨県の河口湖で初めて記録され、その後は霞ヶ浦や琵琶湖など、日本各地の湖沼で定着が確認されています。
驚くべきはその繁殖力。小さな虫型の個虫は、雌雄同体。有性生殖で繁殖しますが、その他に親の体の一部から体が形成されて増殖する出芽、体内で休芽と呼ばれるキチン質の殻に包まれた種を形成、クローンがどんどん増えていきます。寒い冬には親個虫は死んでしまい、寒天質の群体はボロボロに壊れてしまいますが、オオマリコケムシは死滅前に放出した休芽の状態で越冬し、翌春、水温が15℃を超える頃になると発芽して成長し、増殖して群体を形成します。
この休芽が厄介で、水鳥の足についたりして各地に運ばれる。
低温や乾燥にも耐える休芽(直径約1mm)。殻表面の棘で様々なものに付着して移動する。暖かくなると発芽して増殖する。餌は微生物で、触手冠で濾し取って食べる
佐賀城で確認されたオオマリコケムシ。冬季、腐敗して強い臭を放つ。
コケムシのような動物は、4億8千万年ほど前に出現していて、現在、海や湖沼などに6000種ほどが生息しています。淡水には世界に100種ほど。日本にはカンテンコケムシPectinatella gelatinosa(準絶滅危惧:環境省)など26種ほどが生息しています。