
静岡市の巴川流域麻機地域で、カメ類の集中捕獲調査を行いました。67箇所に罠を仕掛けたところ、7日間で380個体が捕獲されました。そのうち、なんと212個体がミシシッピアカミミガメで、総捕獲数の55.8%を占めました。ミシシッピアカミミガメは、アメリカ原産の外来生物です。麻機遊水地とその周辺では、ペット個体の侵入とそれらの繁殖個体が数多く生息していることが明らかになりました。
この調査の中で捕獲された”日本固有のニホンイシガメ”は、わずか1個体。地域絶滅寸前でした。さらに、ニホンイシガメとクサガメとの交雑個体も捕獲され、遺伝子汚染の進行も危惧されます。今後、麻機地域では、ミシシッピアカミミガメを積極的に取り除くとともに、在来カメ類の保全のために遺伝汚染の進行の程度を調査する必要があります。
論文
加藤 英明・小田切 佑樹・服部 智美・本多 安希雄. 2014. 静岡市麻機地域における外来種ミシシッピアカミミガメTrachemys scripta elegans (Testudines, Emydidae) の分布と生息状況. 東海自然誌, 7: 21-24. The Current Distribution and Status of the Red-eared Turtle, Trachemys scripta elegans (Testudines, Emydidae) as Invasive Species in the Asabata Area, Shizuoka, Japan.